1作曲は「頭の中の歌を、形にすること」
お風呂や帰り道で、鼻歌を歌ったことはある? 知っている曲じゃなくて、なんとなく思いついたフレーズを口ずさんだなら、それはもう作曲の第一歩なんだ。
作曲というと、ピアノの前で難しい楽譜を書いている姿を思いうかべるかもしれない。でも本当に大事なのは、頭に浮かんだ音の並びを、あとで同じように鳴らせる形にのこすこと。昔はそのために、楽譜を書くか、楽器でひいて体で覚えるしかなかった。
今はちがう。スマホやパソコンで音を並べれば、機械がそのとおりに鳴らしてくれる。このサイトの「作曲ラボ」なら、並べた音をピコとゴンタがロボ声で歌ってくれる。だから楽器がひけなくても、楽譜が読めなくても大丈夫。いちばん必要なのは「こんな感じがいいな」と思える耳のほうだよ。
2曲は3つの部品でできている
ふだん聞いている歌は、ほとんどが次の3つの部品を重ねてできている。
- メロディ歌の「ふし」。音の高さと長さの並びのことで、鼻歌で歌えるのはこの部分。
- 歌詞メロディにのせる言葉。日本語の歌では、ふつう1つの音に1文字ずつのる(「きゃ」のような小さい字は前の字とまとめて1つ)。
- 伴奏歌を後ろで支える音。ピアノやギターの和音、低いベース、ドラムなど、歌以外の音ぜんぶ。
言葉だけだとピンとこないから、実際に聞いてみよう。下の4小節は、この講座のために作った短い歌。ボタンを①から順に押すと、部品が1つずつ重なっていくよ。
①はメロディだけ。言葉がないから、全部「ら」で歌っている。これだけでも、どんな曲なのかはなんとなく伝わるよね。
②で歌詞がのると、急に「歌」らしくなる。同じ高さ・同じ長さの音でも、言葉がつくと意味と気持ちが乗るんだ。
③で伴奏が入ると、音に厚みが出て、明るい・さびしいといった雰囲気がはっきりする。楽譜の上の「C」「F」「G」は、伴奏で鳴らす和音(コード)の名前。コードは第10回でくわしくやるから、今は「伴奏の設計図」くらいに思っておけばOK。
ことばの話:音楽の仕事では、メロディをつくることを「作曲」、歌詞を書くことを「作詞」、伴奏をつくることを「編曲(アレンジ)」と呼び分けることもある。この講座では、3つをまとめて「1曲つくる」ことを作曲と呼ぶよ。
3好きな曲で、部品を探してみよう
3つの部品は、聞きかたのコツがわかれば、どんな曲でも聞き分けられる。好きな曲を1曲選んで、次の順番で聞いてみて。
- いっしょに口ずさむ。口ずさめる部分がメロディ。
- 歌詞を見ながら聞く。1つの音に1文字ずつ、言葉がメロディにのっていることを確かめる。
- 歌の後ろに耳をすます。ドラムの「ドン・タン」、低い「ブーン」というベース、「ジャーン」という和音。これが伴奏。
聞いていると、歌が始まる前の前奏(イントロ)は伴奏だけで、メロディがまだないことに気づくはず。反対に、伴奏がすっと消えて歌だけになる瞬間がある曲もある。部品を出したり消したりするのも、曲づくりの工夫のひとつなんだ。
4この講座のゴール:8小節のサビを1曲
全12回を終えると、こんな歌がつくれるようになる。メロディ、歌詞、伴奏、それにドラムまで入った8小節。「サビ」は曲の中でいちばん盛り上がる部分のことで、短いけれど、1曲として人に聞いてもらえる長さだよ。
今は楽譜が読めなくても、コードの意味がわからなくても気にしなくていい。第1章で音の高さと長さ、第2章で楽譜とピアノロールの見かた、第3章でメロディと歌詞、第4章でコードとドラム。1回ごとに部品が1つずつ増えて、最後にこの形になる。